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【福岡】幻の鉄道でタイムスリップ ~赤村トロッコ油須原線〜

取材・写真・文:

福岡在住
訪問エリア:41都道府県

2017年10月10日更新

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写真:れいちゃん

「赤村トロッコ油須原(ゆすばる)線」は、福岡県の中央部・田川郡赤村で、月に1回運行される観光用トロッコ列車です。筑豊(ちくほう)と呼ばれる福岡県中部の地域は、かつて石炭産業が盛んだったところ。そして今回紹介するトロッコ列車が走る線路は、戦後の全盛期に石炭を運び出すために作られたものの、石炭産業の衰退によって一度も使われることのなかった線路です。ゆっくりとしたスピードで走るので景色を楽しめるほか、本物のトンネルの中に入るのでスリルも満点!ほんのひとときのタイムスリップの旅に、出かけてみませんか?

この記事の目次表示

赤村トロッコ・油須原(ゆすばる)線とは

一度も使われなかった幻の鉄道

  • 写真:れいちゃん赤村トロッコ・油須原線の線路

「赤村トロッコ油須原線」は、福岡県田川郡赤村で、月に1回運行される観光用トロッコ列車です。のどかな農村風景が広がる人口3,000人足らずの小さな村に、一度も使われることのなかった幻の線路が残っています。

福岡県の中央部に位置するこの地域一帯は「筑豊」と呼ばれ、かつて石炭産業が盛んでした。「筑豊炭田(ちくほうたんでん)」は、戦前~戦後にかけての長い間、日本一の石炭産出量を誇ってきた場所でもあります。

1957年、増え続ける需要に応えるために、石炭を運び出すために国鉄の新ルート(油須原線)の建設が始まりました。線路は、ほぼ完成。あとは開業を待つだけでした。

ところが時代は変わり、主要なエネルギーは石炭から石油へ。炭鉱は次々と閉山していきます。結局、油須原線は開業に至らず、一度も列車が走ることのないまま、線路だけが残されてしまいました。

地域住民の手でトロッコ列車が誕生!

  • 写真:れいちゃん

油須原線の存在が忘れ去られようとしていた頃、地域住民の手で、線路をいかした手作りイベントを開催しようという話が持ち上がりました。結果、イベントは成功し、油須原線は再び注目を浴びるように。いつかは本物の列車を走らせたい・・・そんな願いも高まるようになってきました。

そして2003年、月1回の観光鉄道として、「赤村トロッコ油須原線」が開通しました。使用されているトロッコ列車は、岐阜県の神岡鉱山で実際に使われていたものを譲り受けたという、正真正銘、本物のトロッコ列車。運営を支えているのは、地域住民を中心に結成しているボランティアグループ「赤村トロッコの会」の皆さんです。

さっそく乗ってみよう!

ゆっくりと走るトロッコ列車

トロッコ列車は、前と後がバッテリー機関車で、間に2両の客車をはさんでいます。窓もなくオープンな列車なので、季節の風を楽しめますよ!

  • 写真:れいちゃん

トロッコ列車の運行を支えているのは、赤いジャンパーを着た「赤村トロッコの会」の皆さん。地域住民を中心に結成しているボランティアグループで、受付、案内、運転手役や車掌役、そして列車の整備や線路の清掃など、運行に関わる全ての役を引き受けています。

  • 写真:れいちゃん

さっそく、乗車してみましょう。1回の定員は30人弱。少ないときにはすぐ乗れますが、多いときは待つこともあります。待ち時間も、何となくゆったりとした雰囲気。時には、イベントを兼ねて、出店のテントが並んでいることもあります。

車掌さんの笛の音とともに、出発!スピードは、本当にゆっくり。のんびりと景色が楽しめる速さで、だんだんとタイムスリップしているような気分にもなってきます。列車の中では、車掌役のスタッフさんから、赤村トロッコの解説がはじまります。歴史や地域のことなど、詳しく解説してくださいます。

トロッコ列車が走る線路は、平成筑豊鉄道の線路のすぐ隣。写真のように、並んで走ることもあります。

  • 写真:れいちゃん平成筑豊鉄道と赤村トロッコ

トンネルには、コウモリも!

トロッコ列車が走る線路内には、本物のトンネルが2つあります。中は真っ暗なので、ちょっぴりドキドキ・・・。ライトを頼りに進んでいきます。

  • 写真:れいちゃんトンネルの中

運が良ければ、コウモリに会うことができます。コウモリの冬眠時期でない4月~10月の間に加えて、天候条件などにもよるので、会えたらラッキーです!

2つ目のトンネル・野原越(のばらごし)トンネルの途中が隣町との境となるため、ここで折り返し地点になります。

内田三連橋梁(うちださんれんきょうりょう)の景色も楽しんで

また、2つあるトンネルとトンネルの間で、内田三連橋梁(地元では「みつあんきょ」と呼ばれる)が遠くに見えます。平成筑豊鉄道の鉄道橋で、レンガ造りが珍しい三連アーチの橋。国の登録有形文化財に登録されています。

  • 写真:れいちゃん内田三連橋梁(みつあんきょ)
内田三連橋梁
福岡 / 橋
住所:福岡県田川郡赤村大字内田1804-1地図で見る

赤村トロッコ油須原線に乗るには

トロッコ列車の運行日

運行日は、3月から11月までの毎月1回、原則として第2日曜日(8月は第1日曜日)の10時~16時(受付は15時30分まで)で、約30分間隔で運行しています。ただし、天候その他の事情で運行日や運行時間が変更になる場合もありますので、お出かけ前には必ず、赤村トロッコ油須原線の公式ページをチェックしてください。事前予約は不要です。運行距離は往復で約3.4㎞、所用時間は約25分です。

赤村トロッコ油須原線までのアクセス

赤村トロッコ列車の乗車場所は、平成筑豊鉄道・赤駅の前です。赤駅を出ると、すぐ目の前にトロッコ列車の線路があります。

  • 写真:れいちゃん平成筑豊鉄道の赤駅
  • 写真:れいちゃん赤駅と、トロッコ列車の線路

駐車場もありますので、車でのアクセスも可能です。赤村トロッコ油須原線へは、車または公共交通機関を利用し、北九州市からは約1時間、福岡市からは約1時間半~2時間なので、日帰りでのおでかけも可能です。

トロッコ列車の乗車料金

トロッコ列車へ乗車するには、乗車寄付金を支払う必要があります。この寄付金は、トロッコ列車の運行維持や環境整備のために使われます。料金は、大人(中学生以上)300円、子ども(小学生以下)150円です。寄付金を支払うと、昔の国鉄の切符そっくりの切符がもらえ、改札のハサミも入れてもらえます。

赤駅
福岡 / 駅
住所:福岡県田川郡赤村大字内田地図で見る

本物ならではの雰囲気を味わって

今回紹介したのは観光用のトロッコ列車ですが、走っているのは本物の線路。そして、完成したのに一度も使われなかった線路というのは、全国でも数少なく、珍しい存在です。

知る人ぞ知る赤村のトロッコ列車ですが、毎月の運行日には、家族連れや鉄道の好きな人たちでにぎわっています。ぜひ、体験してみませんか?

  • 写真:れいちゃん
赤村トロッコ油須原線
福岡 / 乗り物 / 子供が喜ぶ
住所:福岡県田川郡赤村大字内田1166-2 (平成筑豊鉄道・赤駅)地図で見る
電話:0947-62-3000(赤村役場(平日昼間のみ))
Web:http://www.akatoro.com/index.html

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この記事を書いたトラベルライター

旅も暮らしの一部♪
福岡県在住。
キャンプやアウトドア、歩くこと、自転車、写真が大好き。
フットワーク軽く、思い立ったときにカメラを持ってふらっと出かけています。
地元や近場(主に福岡県内や九州)のオススメスポットを中心に紹介します。
どうぞよろしくお願いします。
https://ameblo.jp/wind-and-earth/

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