広島、福山市にある鞆の浦(とものうら)は、美しい眺望、ノスタルジックな街並みなど、見どころ満載の港町です。『崖の上のポニョ』など数々の映画やドラマの舞台としても知られていますね。今回は、この鞆の浦の初夏の風物詩「観光鯛網(たいあみ)」をご紹介します。
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潮待ちの港「鞆の浦」
東西から瀬戸内海に流れこむ潮がぶつかる鞆の浦は、潮流を利用して航行する船が上げ潮や引き潮を待つ「潮待ちの港」として古代から栄えてきました。2018年には常夜灯、波止(防波堤)、船番所、雁木(船着場)などの江戸時代の港湾施設が残る港として、日本遺産に認定されました。
また、海の交通の要所として栄えたこの町は、日本の歴史にも度々登場します。特に坂本龍馬ゆかりの地として知られています。
古くは万葉集にもうたわれた瀬戸内の絶景、幕末から昭和初期の情緒ある街並みなど、たくさんの魅力にあふれた港町です。
- 出典:commons.wikimedia.orgPhoto by 663highland [CC BY-SA 3.0 ]
- 写真:Booboo56
- 鞆の浦
- 広島 / 町・ストリート / 観光名所 / ツーリング / 重要伝統的建造物群保存地区
- 住所:広島県福山市鞆町鞆地図で見る
- 電話:084-928-1042
- Web:http://www.tomonoura.co.jp/
観光鯛網(たいあみ)とは
鞆の浦グルメといえば鯛!鞆の浦周辺で獲れる鯛は瀬戸内でも色、形がよく、美味しいことで知られています。その鯛を一網打尽にしようと考えだされたのが、「しばり網漁法」です。そして、江戸時代から約380年間続くこの伝統漁法を身近に観てもらおうと始まったのが、観光鯛網です。
観光鯛網を体験しよう
渡船に乗って、まずは仙酔島へ
観光鯛網の遊覧船は仙酔島(せんすいじま)から出発するので、まずは鞆の船着場から渡船で仙酔島に向かいましょう。鯛網観覧券を事前に購入していない人は、この船着場で観覧券(大人(高校生以上)2,800円、小・中学生1,400円)を買うことができます。渡船料は観覧料に含まれているので、無料です。
- 渡船時刻:毎時10分・30分・50分(鞆発/所要時間約5分)
観光鯛網の午前の部は10時30分、午後の部は13時30分に始まりますから、午前の部に参加する人は遅くとも10時10分、午後の部に参加する人は13時10分の船に乗らないと間に合いません。
渡船は坂本龍馬が乗り込み海運業務を行っていた「いろは丸」を模した「平成いろは丸」です。仙酔島は一周すると約6kmとなっており、島内には3つのウォーキングルートがありますから、早めに島に渡って島歩きを楽しむのもいいですね。ちなみにこの仙酔島、島全体がパワースポットとも言われています。
上の写真の手前にあるのが弁天島。漁師たちの守り神である弁財天が祭られた「弁天堂」が目印です。その後ろが仙酔島となっています。
- 仙酔島
- 広島 / 一人旅 / パワースポット / 穴場観光スポット / 島・離島
- 住所:広島県福山市 仙酔島地図で見る
- Web:http://www.tomonoura.co.jp/sen/
田の浦から観光船へ乗り込む
平成いろは丸を降りた後、案内に従って歩くこと2〜3分で田の浦に到着します。
田の浦の浜辺では、伝統芸能アイヤ節、餅まき、在弁天さまの使いである乙姫様による鯛網漁の安全と大漁を願う舞の披露などのイベントが開催されており、それぞれ見学することができます。この後、観光鯛網の観覧客は観光船に乗り込みます。
勇壮な伝統漁法「しばり網漁法」を見学
この「鯛網」、正式には「しばり網漁法」という漁の名称です。網を操る「網船」、その網船を引っ張る「錨船」や、潮の動きをみて船の動きを先導する「指揮船」など、六艘以上の船が協力して行います。
上の写真が網船です。これが二艘で並走し、互いの船が相手の船の網を持ち、それをしばり上げて鯛を網の中に追い込みます。この網船には動力がないため、錨船が網船を操ります。
網を引くのも、もちろん人力。江戸時代に確立されたこの漁法を当時のまま行っているのは、日本でもここだけなのだそうです。いくつもの船が行き交い、漁師さんが掛け声とともに網を操る勇壮な漁、間近に見ると感動しますよ。
網引き体験もできる
観光船からの見学だけでなく、希望者は網船に乗って、漁師さんと一緒に網を引く体験もできます。観光船に乗船する前に希望者を募りますから、興味があれば、ぜひ参加しましょう。忘れられない貴重な体験になるかもしれません。
獲れた魚は船上で即売
漁が終わると、獲れた魚(太刀魚やスズキなど鯛以外の魚が獲れることも!)の即売が始まります。観光船から漁船に乗り移り、欲しい魚を買いましょう。もともと市場よりかなり安い価格設定だそうですが、「鯛の値段は駆け引き次第」なんだそうなので、漁師さんとの値段交渉を楽しみながら、買いましょう。
もちろん買った魚は、その場で袋に入れて持って帰れるようにしてくれます。保冷容器も用意してもらえますし、さらには宅配便の手配も船上でできて、まさに至れり尽くせりです。
下船後のお楽しみ
観光鯛網の観覧後は、鞆の浦の史跡を巡る無料ツアーに参加することができます。観光船の下船場所は「仙酔島の田の浦」と「鞆港桟橋」がありますが、このツアーに参加したい人は「鞆港桟橋」で下船してください。また観覧券の提示で、自動車時計博物館にも無料で入館できます。
- 福山自動車時計博物館
- 広島 / 博物館 / 雨の日観光
- 住所:広島県福山市北吉津町3丁目1−22地図で見る
- Web:http://www.facm.net/
2019年の観光鯛網情報
開催期間・時間
2019年の開催期間は、
- 4月28日(日曜日)・29日(月曜日)の2日間
- 5月3日(金曜日)〜26日(日曜日)
となっています。基本的に晴れでも雨でも毎日開催されますが、海が荒れて船が出せない時は中止になることがあるとのことです。
また開催時間は以下の通りです。
- 午前の部:10時30分
- 午後の部:13時30分
お得な観覧券情報
2019年4月27日までなら、コンビニで、ちょっとお得な前売り券(大人(高校生以上)2,500円、小・中学生1,250円)を買うことができます。コンビニ端末に商品番号「0250177」を入力してください。
また福山駅前のバス案内所、観光案内所などでは福山駅から鞆の浦までの往復バスと観覧券が一緒になったバス付き観覧券(大人(高校生以上)3,300円、小・中学生1,650円)を販売しています。往復のバス料金だけで1,040円ですから、このチケットもかなりお得ですよ。
- 観光鯛網
- 広島 / 体験・アクティビティ / 春のおすすめ観光スポット
- 住所:仙酔島, 田ノ浦海岸地図で見る
- 電話:084-926-2649(公益社団法人福山観光コンベンション協会)
- Web:https://www.hiroshima-kankou.com/event/9876