太平洋に面した福島県は、東日本大震災で大きな影響を受けた地域としても知られています。今回は、福島県内を走るJR常磐線沿いにあり、地元の方々の力で復興を遂げた、海の見える駅をご紹介します。
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【1】JR常磐線 富岡駅(とみおかえき)
2011年に起きた東日本大震災で被災し、不通となっていた樽葉町にある富岡駅。震災の警戒区域として規制され、6年間の休業を余儀なくされましたが、2017年に解除。近代的な駅舎が建てられ、電車の運行が再開されました。駅前には広いロータリーとお土産などを販売する売店があります。
線路の向こう側には、2020年12月時点でも、復興のために働く重機が見られます。ホームからは防潮堤があるため海は見えませんが、上りと下りのホームを往来するために架けられた通路の窓からは、防潮堤向こうに広がる海を見ることができます。
- アクセス:常磐富岡ICより車で約12分
【2】JR常磐線 竜田駅(たつたえき)
富岡駅から南へ1駅、樽葉町にある竜田駅。震災の影響を受け、およそ3年間休業した後、新設された駅舎で営業が再開されました。周辺には住宅地が広がり、近代的な駅舎が目に飛び込んできます。駅構内に入らずとも、駅の東西を行き来する東西自由通路から、海を見ることができます。
筆者が訪れた際は、新駅舎の隣には、1909年に建てられた旧駅舎の姿も。こちらも海の見える駅として地元の方に長年親しまれてきましたが、その役目を終え、2020年12月現在は取り壊されています。
- アクセス:常磐富岡ICより車で約20分
【3】JR常磐線 木戸駅(きどえき)
竜田駅から南へ1駅、こちらも樽葉町にある木戸駅。1898年に開業した住宅地の中にある駅で、上記でご紹介した竜田駅旧駅舎と同じような形をしたレトロな駅舎です。初めてこの地を訪れた人でもどこか懐かしさを感じるような、そんな雰囲気を醸し出しています。
木戸駅はホームから海を望むことができますので、ホームを行き来する通路を利用して、海側のホームにアクセスしましょう。ホームには海の景色のほか、なんとミニチュアのお城があり一際目を引きます。1967年に駅長によって設置されたこの小さなお城は、かつてこの地に建てられた樽葉城(ならはじょう)をモチーフにしたのだそう。
- アクセス:常磐自動車道広野ICより車で約10分
【4】JR常磐線 末続駅(すえつぎえき)
木戸駅から南へ1駅、いわき市にある末続駅。福島県内で海が一番近くに見え、テレビなどにも登場する有名な駅です。歴史あるレトロな駅舎は、昭和な雰囲気を醸し出しています。
末続駅には、海の見えるデッキが設置されていて、ホームに入らずとも海を見ることができます。
ホームのフェンスには「末ながく花と緑と青き海が続く駅」という、心がほっこりする言葉が書かれていて、その向こう側には防潮堤とともに青い海がきらめきます。
駅前には手入れされた花が咲き誇り、地元愛が感じられ、そして訪れた人に海と花をたのしんでほしいという気持ちが伝わってきます。
- アクセス:常磐自動車道いわき四倉ICより車で約11分
おわりに
福島県内にある海の見える4駅を、北から南へとご紹介しました。
どの駅からも美しい海が見られ心和むとともに、震災で大打撃を受けつつも着実に復興を遂げていることが感じられます。そして何よりもこの地をつなぐ駅が、地元の人々に愛され、大切にされていることも伝わり、心が温まります。福島に足を運んだ際には、ぜひ海の見える駅に立ち寄って風景を眺めつつ、人の強さや温かさを目と肌で感じてみてくださいね。