滋賀県北西端、琵琶湖のほとりある長命寺山の山腹にある長命寺。境内までは808段という長い石段を上らなければなりませんが、たどり着いた境内では眼下に広がる琵琶湖の眺め、重なり合う美しい諸堂、そして古代の伝説が残る巨石群が鑑賞できます。名前の通り、このお寺のご利益は「健康長寿」。長い階段で足腰鍛えながら、美しい景色を眺め長寿祈願しませんか。
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琵琶湖湖畔に建つ古刹・長命寺
長命寺は、619年聖徳太子によって開かれたと言われており、西国三十三所の第31番札所にもなっています。長命寺が建つ山は仏教が伝わる前から、山にある巨石への自然崇拝が行われていた場所で古くからご神山とされていました。
本堂や三重塔など重要文化財に登録されている建物も多く、それらが一列に並ぶ伽藍配置は美しい景観を作り出しています。
808段の階段の先にある琵琶湖の眺め
長命寺があるのは長命寺山の山腹で、標高は約250m。そのため境内まで808段もの長い階段を上らなくてはなりません。時間にして20分ほどかかります。足腰に不安が・・・という方は、車で行けば境内近くに駐車場がありますので、そこからなら100段ほど上れば大丈夫。
ですが、車で行っても健康のご利益にあやかるため、あえて下から全ての階段を上る方もいるそう。健脚づくりのためにもぜひ挑戦してみてください。
808段の階段を上りきり境内へ。そこからは疲れも吹き飛ぶ眼下に広がる琵琶湖を眺めることができます。
鐘楼からさらに石段を上った先にある太郎坊権現社からの眺めも素晴らしいので、余力のある方はぜひこちらまで足を運んでください。
境内は文化財の宝庫
本堂(重要文化財)
元の本堂は1516年戦火により焼失。その後、1524年に再建された寺内最古の建造物です。本尊は千手観世音菩薩、十一面観世音菩薩、聖観世音菩薩の三体でいずれも重要文化財。残念ながら、秘仏のため一般公開はされていません。
三重塔(重要文化財)
本堂同様、1516年の焼失後再建され、1597年完成。本堂東側の一段高い位置に建っています。2014年に屋根の葺き替え修理が完了し、建立当時を思わせる姿になっています。
三仏堂(県指定有形文化財)と護法権現社
本堂横にある三仏堂は、平安時代後期に近江守護佐々木定綱(さだつな)が父親の菩提を弔うため建立したのが始まりと伝えられており、内部には釈迦・阿弥陀・薬師の三尊が祀られています。
また三仏堂から短い渡り廊下を進んだ先にある護法権現社は、長命寺の開山である武内宿禰(たけのうちのすくね)が祀られています。
古代から続く巨石パワーに長寿祈願!
寺院が建立されるよりも数百年も前、3世紀後半から4世紀初頭、武内宿禰がこの地にあった巨木に「寿命長遠諸願成就」と彫って長寿を願ったところなんと300年!も生きることができたという伝説があります。この伝説がきっかけで寺院建立時に「長命寺」という名がつき、長寿のご利益を願うお寺となりました。
本堂裏の斜面にある六所権現影向石(ろくしょごんげんようごうせき)は、「天地四方を照らす岩」という意味で、先の巨木とあわせてこの石にも武内宿禰は長寿を祈願したと言われています。
また、護法権現社の裏手には武内宿禰のご神体とされる修多羅石(すたらいわ)があります。いずれも1,000年以上も続く巨石崇拝のパワーがもらえるスポット。ぜひ健康長寿をお願いしましょう。