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出発前に準備したいもの
お遍路の伝統的なスタイルは、上下白装束・菅笠・金剛杖。これらの正装に身を包むことで心が引き締まり、また一目で周囲の方にお遍路さんだと認識してもらえます。
ですが、このような正装はちょっと敷居が高い。現地までの移動時に目立つし抵抗がある・・・と言う方も大丈夫。必ずしもこの服装でないといけないということはありません。長距離歩行のお遍路には、機能性に優れたアウトドアウェアやグッズが便利。これらを組み合わせることで、自分なりのお遍路スタイルを作りましょう。
カバン
数日間の荷物を移動中ずっと持ち歩くため、カバンはリュックサック。25~35ℓのサイズがあればいいと思います。重い荷物を背負って長距離を歩くのは大変。肩だけに負担がかからないよう、腰ベルト付きをおすすめします。ウェアは途中宿泊先のコインランドリーで洗えば、全日程分を持ち歩く必要はありません。
また、納経帳やお財布など出し入れを頻繁に行うものは、サブバッグに入れておくと便利です。専用の山谷(さんや)袋もありますが、手持ちのショルダーバッグなどで代用可能です。
シューズ
体力やペースにもよりますが、大体歩き遍路の1日の歩行距離は30キロ前後。また、未舗装の山道も歩きますが、舗装道が大半のため、トレッキングシューズでは重すぎます。ウォーキングシューズやローカットなど軽めのトレッキングシューズがおすすめ。
服装
最近はカジュアルなアウトドアウェアのお遍路さんも沢山います。
伸縮性のあるパンツ、速乾性のTシャツ、防寒や雨除け用にウィンドブレーカーやレインパーカーがあるといいでしょう。
ただし、それだけだと普通のハイキングと変わりないスタイルになってしまいます。周りの方から「お遍路さん」と分かってもらえるよう、また自分自身の気持ちを高めるためにもお遍路ウェアはどこかに身に着けたいもの。
筆者は、アウトドア用のTシャツの上に白衣の袖なしタイプを着用。こちら着心地を重視した速乾素材。お遍路グッズのインターネットショップいっぽ一歩堂さんで購入しました。その他、和袈裟(わげさ)と呼ばれる首にかける簡易式の袈裟だけをかけている方もよく見かけました。
金剛杖
金剛杖は弘法大師の化身とされ、「同行二人」(遍路旅の道中、弘法大師と共にいるという考え)のために必要なアイテム。
元々は、過酷な遍路の最中万が一行き倒れてしまったときの墓標でもあったのだとか。山道や階段などでは歩行を助ける実用的な側面もあります。
菅笠
菅笠は日差しや雨除けにもなるアイテム。帽子は参拝時に脱がなければいけませんが、菅笠は着用のままで構いません。ただし、四国までの道中かさばるというデメリットはあります。菅笠を着用しない場合は、日差し除け兼雨除けとしてアウトドア用のハットがあると便利です。
参拝グッズ
札所に着いたら、納札箱に納札を入れ、ロウソク、線香、賽銭をあげ、読経します。それを本堂と大師堂それぞれで行ったのち、納経所で御朱印をいただきます。
それらに必要なグッズは、最初の札所に参拝する前に揃えておきましょう。一番札所の霊山寺の門前にある「門前一番街」ではこれらの用品を揃えることができます。またその他の札所近辺にも、遍路グッズが買えるお店はありますが、あまり数は多くありません。先ほどご紹介したようなインターネットショップで出発前に揃えておくのもいいでしょう。
体力
はっきり言って、お遍路は楽な旅ではありません。早朝から夕方近くまで、数キロになる荷物を背負ったまま、30~40キロの道のりを歩くことはほとんどの方にとって未知の体験ではないでしょうか。
また、1日あたりの距離を短くしても、途中には何キロも続く山道や、ようやく札所に辿りついてもそこから本堂まで長い長い階段が待ち受けていることもあり、やはりある程度の体力と脚力は必要です。遍路はかつて「修行」の一つであったもの。日頃から体力作りをしておけば、ただしんどいだけでなく、厳しいながらも楽しい経験になること間違いなしです。
この記事を書いたトラベルライターから一言
筆者がお遍路をやってみよう!と思ったきっかけは、たまたま本屋でお遍路のガイドブックを目にしたこと。「お遍路って聞いたことあるけど、まわりにやったことある人もいないし、ちょっと経験してみようかな」と割と軽い気持ちでの挑戦でした。
実際にやってみて、雨の中の山道や、長距離歩行での疲労などしんどい思い出もありますが、お遍路ならではの貴重な体験が沢山できました。(えちこ)