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【イギリス・コンウィ】北ウェールズの人気観光スポット「The smallest house in Great Britain(グレート・ブリテン島の小さい家)」の見どころガイド!

取材・写真・文:

千葉在住

2019年5月3日更新

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写真:Noz

穏やかな水面が対岸まで続き、木造の帆船の間をカモメが飛び交う川。今回ご紹介する北ウェールズの観光名所「The smallest house in Great Britain(グレート・ブリテン島の小さい家)」は、そんなコンウィ川の河口をのぞむ波止場に佇む、小さな家です。その名の通り英国で一番小さな家として知られ、ギネスブックにも掲載されています。かつて人が暮らしていた家の中の様子は?取壊しの危機から家を守ったおまじないとは?観光名所となったこの小さな家で発見した、大きな魅力と見所をご紹介します!

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「The smallest house in Great Britain(グレート・ブリテン島の小さい家)」とは?

「小さい家」は、北ウェールズの街・コンウィ(Conwy)にある、歴史と文化がたくさん詰まった観光名所!

  • 写真:Noz「小さい家」の外観。家の前にいるのは、ウェールズの伝統的な衣装を着たガイドの方です。

イギリス、ウェールズの北部にあり、アイリッシュ海へと流れ込むコンウィ川の河口にある街、コンウィ(Conwy。英語ではConway(コンウェイと発音します))。13世紀に建てられたコンウィ城とその城壁が街を囲む城下港町で、ムール貝の漁や真珠の採取、帆船の造船、鋳物の製造などで栄えました。

また、アイルランド、スコットランド、イングランド(リバプール)を結ぶ港として栄えていた頃には、オーツ麦や大豆、スレート(粘板岩)など様々な物がこの街に持ち込まれて取引されていました。

その後鉄道が開通し、物流の流れが変わります。港町としての機能に衰退の兆しが見え始めたコンウィは、当時海岸で余暇を楽しむ旅行者が増えてきていた事に目をつけ、観光地としての発展に舵を取ります。

コンウィにある数々の観光名所は、そんな時代の移り変わりを経て現在に引き継がれてきたコンウィの歴史や文化がつまった宝物です。その中の一つが、今回ご紹介する「The smallest house in Great Britain(グレート・ブリテン島の小さい家)」なのです。

  • コンウィ城とウェールズの国旗。
  • 写真:Noz街を囲うコンウィ城の城壁。写真中央に見える赤い建物「小さい家」は、この城壁に沿って建っています。

老夫婦や漁師も暮らした、「小さい家」。・・その大きさとは?

今回紹介する「小さい家」の大きさは、幅72インチ(182.88cm)、高さ122インチ(309.88cm)、奥行き120インチ(304.8cm)。

そんな「小さい家」この家には、かつてロバート・ジョーンズ(Robert Jones)という名の漁師が賃貸で住んでおり、彼は潮が引くとムール貝を採って暮らしていたそうです。彼の身長は6フィート3インチ(190cm)だったようですが、年老いた頃でも180cm前後はあったと思われます。

身長190cmの方がこんなにも小さな家で暮らしていたとは驚きなのですが、実は、彼の前には老夫婦が二人で暮らしていた事もあったそうです。

  • 写真:Noz「小さい家」が建っている波止場。たくさんの船やボートが停められています。

なぜ観光名所に?・・奇抜な視点が、「住むのに不適切な家」を観光名所へと変える!

1900年頃、コンウィ川河口の波止場に並んでいたコテージを取壊す計画が持ち上がります。取壊しの理由は、当時の行政が「住居として不適切」と判断した事にあったのですが、そのコテージの中にはこの「小さい家」も含まれていました。

そんな中、地元紙の編集者が「この小さな家は、国内で一番小さい家かも知れない」と家主に持ちかけます。そこで2人は、国内にある他の「小さい家」を巡り、コンウィのそれと大きさを比べる旅に出ました。そして、コンウィの「小さい家」が、他のどの家よりも小さい事を確認したのでした。

観光地として舵を取るも、まだ観光名所と呼べる場所が少なかった当時のコンウィの街。他のどの家よりも小さい事が確認されたこの「小さい家」は、街の新たな観光名所の有望候補として残されることになりました。

そうして居住者が去り、他のコテージが取り壊された後に残ったこの「小さい家」は、「The smallest house in Great Britain(グレート・ブリテン島の小さい家)」として一般公開されるようになり、コンウィでも人気の観光名所となったのです。

「魔女のおまじない」に守られた?

「小さい家」には、第二次大戦前に2度目の取り壊し計画があがった事がありました。しかし、これも実行される事はなく、「小さい家」は取り壊しから逃れたのでした。

この2度の幸運は、「小さい家」の屋根にある魔女の煙突(witch chimney)に関係しているという話があります。その昔、ほうきで飛び回る魔女が一休み出来るように、煙突の上に魔女の寝床(witches’ rest)を作るのが良いとされていました。魔女の寝床を作った家は、皆いつも幸運に恵まれて、呪われたり取り壊される事がなかったと言われています。

「小さい家」では、この古い言伝えに残る煙突を実際に見ることができます。そして、家の中にある家具、置物、写真などのインテリアや配置は、イギリスの文化が入ってくる以前の古き良きウェールズ時代のコテージを完璧に再現している、大変貴重な文化遺産でもあります。この「小さい家」は、その全てがウェールズの歴史と文化を伝える「小さな博物館」でもあるのです。

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この記事を書いたトラベルライター

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東京生まれ、東京育ち、なのにイギリスと縁がある、関東在住のトラベルライターです。動物好きが高じて英語を習得し、イギリスを訪れるようになりました。今では旅行人と地元人の両方の視点で情報を集めています。一方で、下町情緒あふれる門前仲町、新旧の文化が入り混じる麻布など、近場を日帰りで散策するのも好きです。最近になり運転免許を取得してからは、六甲山や那須塩原など散策の範囲が大きく広がりました。^ ^ 新しいこと、美味しいもの、楽しいこと、、何でも知りたい、そして伝えたい!旅の計画から週末の予定まで、役立つ情報を発信していきます。

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