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8. Kitchen (キッチン)
部屋の広さと多様なインテリアがとても印象的な部屋ですが、ここはヨークシャー・デールなど近郊にあった当時の農家のキッチンスペースを再現しています。ワイト氏が往診で訪れた農家や酪農家のキッチンは、このような雰囲気の部屋だったようです。
「農家のエンジン室」とも呼ばれていたキッチンですが、どのような家事が行われていたのかは、展示されている当時の家事道具を通して知ることができます。
炊事用品
AGAというメーカーの調理台は、オーブンや収納スペースもついていて素敵。キッチンの棚には昔のパッケージの商品が並び、レトロな雰囲気を醸し出しています。その他にも、ローストビーフと一緒に食べるヨークシャープディングや、パンを作る小麦粉、こね台、陶器の大きなボールなどが展示されています。
洗濯道具
キッチンの一角には洗濯場もあり、手動式の洗濯機や洗濯板などが置いてあります。またキッチンではお湯を沸かす道具があるので、桶にお湯を張って子供をお風呂に入れることもあったようです。この場所に降り立つと、何でも揃って様々な用途で使えるキッチンが「農家のエンジン室」と呼ばれた理由がわかります。
9. Memorabilia & The Real James Herriot Room (ヘリオット先生シリーズの本や記念品の展示スペース)
キッチンを通り抜けた先には、ワイト氏が手掛けた作品や生い立ちを紹介する展示スペースがあります。
ワイト氏の著書であるヘリオット先生シリーズは、本や絵本などの書籍のみならず、それらのストーリーを原作にした映画やテレビシリーズも作られました。この展示スペースには、ワイト氏が作成した原稿や数々の著書、ストーリーに登場する動物やシーンをモデルにした置物や絵皿などのギフト商品、映画やドラマの広告ポスターやレコードが展示されています。
こちらは1975年にイギリスとアメリカで放映された映画のポスター。左下の俳優はアンソニー・ホプキンスです。
左上の写真は、人が集まる教会やパブなどを好んで訪れたオスカー(Ocar)という猫の物語を書いた絵本と、モチーフにした置物。右上の写真は、『みなしご羊ハーバート』というサフォーク種の子羊の物語の本とその置物です。
- 写真:NozBBCが制作したテレビシリーズの広告。シリーズは大ヒットしました。
- 写真:Nozヘリオット先生のモデルのワイト氏(写真向かって左)。診察台の上の犬に注射をするところのようです。
- 写真:Nozワイト氏の生い立ちを紹介するパネル。
ちなみにワイト氏のはじめの著書『If Only They Could Talk(邦題『ヘリオット先生奮闘記』)』が書かれたのは1969年ですが、当時の英国獣医師会は広告活動に繋がるあらゆる活動を獣医師が行う事を禁止していたため、ワイト氏は作品の著者名に「ジェイムズ・ヘリオット」というペンネームを使用したそうです。
10. The Foldyard and The Farrier (蹄鉄工の作業場と小屋)
蹄鉄工(ていてつこう、farrier)とは、馬の蹄(ひづめ)にU字型の鉄製の保護具を装着する職人のことです。この展示スペースは半屋外にあり、鉄製の保護具を炭で熱する蹄鉄工と、傍らで佇む馬のマネキンが展示されています。鉄道や車が普及する前の時代に活躍していた馬は、このような場所でメンテナンスを受けていたことがわかります。
すぐ近くにある小屋(fold yard)は、牛や羊などの家畜が冬の間に暮らす小屋を再現したスペースで、並べられた椅子に座り、ドラマの出演陣によるインタビューなどの映像が放映されている小さなシアターになっています。
11. Garden (ガーデン)
小屋を通り抜けた先には、スケルデール・ハウスの建物と高いレンガの壁に囲まれたガーデンが広がっています。高い壁が寒さを除け、陽だまりにはバラや藤が繁っています。ワイト氏はガーデニングを好んで行い、戦時中にはトマトや玉ねぎ、アスパラガス、メロンなどの野菜も育てていたそうです。
また、ガーデンの中央には、脇に犬を抱えたワイト氏のブロンズ像が立っています。
12. TV Studio & Austin Seven (撮影スタジオと、オースチン・セブン)
イギリスでは、BBC(英国放送協会)によってテレビシリーズ『All Creatures Great and Small』が制作されました。一部キャストの交代や休止した時期もありますが、1978年に始まったシリーズは、1990年に終了するまでの間の6年間に合計90話を放送しています。
キッチンの裏にあたるこのスペースには、約40年前、バーミンガムにあるPebble Millスタジオで撮影に使用されていたエントランスや居間、診察室のセットが撮影機材ごとそのまま再現され展示されています。忠実に再現されているため、今にも撮影が始められそうな雰囲気です。
ここはまさに、テレビシリーズのファンにとっては興奮収まらない場所です!ちなみに上の写真中央の電話の展示品は、触ってもOK!通りかかる人は皆ポーズを決めて写真を撮るフォトスポットです。また、撮影に使用されノース・ヨークシャーの放牧地を駆け巡った車「オースチン・セブン」も展示されています。
13. Interactive Gallery (体験型学習ギャラリー)
2階に上がると、広いスペースに置かれた牛や豚の実物大模型や、クイズに答えて遊ぶ遊具などがある体験型ギャラリーがあります。
この場所では、様々な学習ツールを通して、家畜動物と私たち人の生活の関わり、獣医師と農家が連携して家畜動物の健康維持や体調管理を行うことの大切さ、そして家畜動物の福祉とはどのようなものであるかということについて、ユーモアと楽しさを交えて学習することができます。
左上の写真は、妊娠の確認や炎症のチェックなどをするための方法を体験するコーナーです。知識と経験が求められますが、現代でも用いられている安全で適格な検査方法です。
14. Veterinary Science (獣医学の歴史スペース)
ギャラリーの隣には、獣医学に特化した展示スペースがあります。獣医学の歴史や進歩を図解などで紹介するパネルや、昔の医療器具など、4,000点を超える展示品が整然と並べられています。
一見すると怖い感じもしますが、患畜の治療に特化した道具の進歩を知ることができる興味深いスペースです。また、なんとこの場所は、イギリス国内で唯一の獣医学に特化した博物館でもあります!
昔は悪い血が原因で病気になると考えられていました。左上写真の器具は、悪い血を出すためにわざと出血させる処置に使用されていたそうです。右上の写真は、馬のリウマチを治療している様子です。馬を温めるために全身をキルトで包み、重力による負荷を軽くするためにベルトで吊り下げています。
上の写真は、実際に道具に触ることができるコーナーです。鉄や木が使われているのでずっしりと重い。
展示されている器具は鉄やガラスや革などが使われているせいもあってか、原始的で野蛮な雰囲気さえ感じます。しかし、実は現在使用されている器具と比べても機能や使い方は大きくは変わらず、器具の素材がプラスチックやゴムなどで作られるようになったことで、より軽くて安全かつ衛生的な器具に進歩している事がわかります。
15. お土産
敷地内にあるお土産ショップでは、様々なアイテムが販売されています。
ヘリオット先生にちなんだ商品では、本やテレビシリーズのDVD、オースチン・セブンがデザインされたティータオル、トリッキー・ウーの絵が描かれたノートやマグカップなどがあり、ヘリオット先生のファンなら買い占めたくなるものばかりです。また、ワイト氏が生誕100周年を迎えた2016年に制作された記念の本や置物、コースター、キーホルダーもあります。
- 写真:Noz羊の毛(ウール)からとれるラノリンという天然の脂成分を使った固形石鹸。1.99ポンド(約295円)
- 写真:Nozきめ細かい泡立ちと、使用後のしっとり感が気持ちいい!イギリスのお土産としても最適です。
ヨークシャー地方にちなんだ商品では、地元の画家が描いたヨークシャー地方の風景や動物の絵、それらをモチーフにした置物やプリントしたトートバッグ、マグカップとコースター、文房具、犬用のおやつがあります。羊の毛(ウール)からとれるラノリンという天然の脂成分を使った固形石鹸は、赤ちゃんからお年寄まで使えるおすすめの商品です。
- ワールド・オブ・ジェイムス・ヘリオット
- イギリス / 博物館・美術館 / 博物館
- 住所:23 Kirkgate, Thirsk, North Yorkshire地図で見る
- 電話:01845524234
- Web:https://worldofjamesherriot.com/