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【函館市】 縄文文化を体験学習出来る施設で中空土偶(国宝)などの遺物を見学しよう!

取材・写真・文:

トラベルライター

2018年3月2日更新

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写真:トラベルライター

縄文時代の遺跡が数多く発掘されている函館市南茅部地域では、北海道初の国宝「中空土偶」が出土しています。国宝をはじめ、現地で発掘された貴重な遺物を展示公開している「函館市縄文文化交流センター」をご紹介します。

この記事の目次表示

貴重な遺物が多数出土している、函館市南茅部地域とは?

南茅部町は、平成16年12月に周辺の市町村(函館市、戸井町、恵山町、椴法華村)と合併して函館市になっています。こちらの記事では、位置を指定する目的で便宜上、「函館市南茅部地域」と呼ぶことにします。

この地域は、資源豊かな海と山の幸に恵まれており、縄文時代早期から晩期にかけて約7千年もの間、縄文文化が栄えていました。縄文時代の遺跡が発掘されており、貴重な遺物が多数出土されています。

  • 写真:トラベルライター縄文文化交流センター併設の「道の駅」縄文ロマン南かやべ周辺の様子

こちらに掲載している地図中の「ピンク色に塗られている場所」が南茅部地域になります。

その他、この地域に関する詳細についてはこちらをご参照ください。

函館市縄文文化交流センター

同センターは、2011年(平成23年)10月1日、函館市臼尻町に道の駅「縄文ロマン 南かやべ」と併設の建物として開館しました。総事業費約6億7600万円を投じて完成した同センターは、鉄筋コンクリート2階建ての建物です。

  • 写真:トラベルライター函館市縄文文化交流センター入口前

縄文時代の国宝「中空土偶」や貴重な遺物を常設展示していることから、道の駅「縄文ロマン 南かやべ」は、国内唯一の国宝のある「道の駅」としても注目されています。

  • 写真:トラベルライター函館市縄文文化交流センター入口の玄関マット

入口には、国宝「中空土偶」をデザインした玄関マットが敷かれていました。

  • 写真:トラベルライター縄文時代の世界、日本、北海道、函館市の対比パネル

建物に入ると、すぐ正面に縄文時代の世界、日本、北海道、函館市の年表があります。世界での動きとの対比が分かりやすく書かれていますが、何と言っても、縄文時代の長さには、改めて驚かされました(8千~1万年)。

  • 写真:トラベルライター函館市縄文文化交流センター室内展示室の様子

展示室は、照明が暗く抑えられており、数々の出土品を鑑賞するにあたり、雰囲気作りを考えられていると感じました。ここには、解説スタッフの方が常勤しており、出土品などの詳しい解説をしてくれますので是非お尋ねしてみることをお勧めします。

函館市南茅部地域の出土品

函館市縄文文化交流センターは、この地区にある史跡大船遺跡垣ノ島遺跡をはじめとして、函館市内の遺跡から発見された土器、石器など縄文時代の貴重な遺物を約1,200点展示公開しています。

現在、大船遺跡や垣ノ島遺跡を含む北海道・北東北地方で出土された 18地域の縄文遺跡群を有する北海道と北東北3県の関係自治体が中心となって、世界遺産登録を目指しており、2009年(平成21年)1月5日には世界遺産候補としてユネスコ世界遺産センターの世界遺産暫定一覧表に記載されています。

それでは、同センターに展示されている縄文時代の貴重な出土品の数々を順次、観ていくことにしましょう。

翡翠(ヒスイ)

ヒスイの装飾品は東北や北海道各地の遺跡で発見されていますが、原料となる石は新潟県の糸魚川で採れるそうです。

  • 写真:トラベルライター翡翠(ヒスイ)の装飾品

縄文時代の人々が遙か遠方地域の人々と交易していたことを示す貴重な史料ですね。

大珠

約5千年前の縄文時代中期に始まって後期にかけてのおよそ2千年間の遺跡から出土する翡翠製品です。優美なものは細長い楕円形で5~15センチ前後、中央に紐を通したと思われる孔が空いているのが特徴です。

  • 写真:トラベルライター大珠(翡翠製品)

現在のところ、これが何に使われたのか、社会的にどのような意義があったのか、全くわかっていません。穴に紐を通し、それを左右に振って神託を得たり、超自然の力を得ようとした、という説もあります。

土坑(どこう)

発掘調査をしていると、住居の跡やお墓の跡など様々な遺構(いこう)が発見されます。こうした遺構の中に土坑と呼ばれる種類の遺構があります。土坑とはある程度の大きさと深さを持った掘り込みのことを言います。

  • 写真:トラベルライターフラスコ状土坑

写真の土坑は、フラスコ状土坑と呼ばれています。この特徴としては、口が狭く、底が広くなって全体としてフラスコ(三角フラスコ)のような形状になっている遺構のことであり、貯蔵穴として使用されたものと考えられています。

最古の漆工品

縄文時代早期の墓から出土した漆糸製品です。遺体の頭部、両肩、両腕、両脚から漆糸製品が発見されたものです。

  • 写真:トラベルライター最古の漆工品

これらの漆糸製品が約9千年前のものと分かり、日本が漆文化発祥である可能性が高まっています。

手形・足形付土製品

手形・足形付土製品は、亡くなった子どもの足形や手形を写し取ったもので、紐を通して住居内で吊していたものと考えられています。

  • 写真:トラベルライター手形・足形付土製品

これらは、垣ノ島遺跡から出土されたもので、約6千5百年前の親の墓から出土したものと考えられていますが、親が亡くなった際に一緒に埋葬されたと思われます。

  • 写真:トラベルライター手形・足形付土製品

手形・足形付土製品は出土例が少なく、2017年(平成29年)3月現在で全国23遺跡67点のみに留まっています。

貝塚

貝塚は、貝殻や魚骨及び獣骨等の残飯や土器等の生活道具が捨てられた場所ですが、人骨や火を焚いた痕跡があることからヒトやモノに宿った魂を送る儀礼の場所だったと考えられています。

  • 写真:トラベルライター貝塚

アスファルト付土器

縄文時代、土器の補修などの接着剤として使われていた鉱物資源であるアスファルトが付着した土器が出土しています。

  • 写真:トラベルライターアスファルト付土器

シカ絵画土器

函館市指定文化財に指定されている「シカ絵画土器」です。土器の胴部に2本の線で角、頭、胴部、四肢が描かれています。尻尾は欠損していますが、角があることから雄シカと想像できます。

  • 写真:トラベルライターシカ絵画土器

シカの肉は貴重なタンパク源として食料になり、毛皮は温かな服や敷物に、そして骨や角は釣り針や銛先の材料に利用したと考えられています。

石斧・石鍬

石斧は、柄を付けてスコップや伐採用の道具等として使われたものと考えられています。また石鍬は、用途が土掘り用等の農業道具として使われていたと考えられています。

  • 写真:トラベルライター石斧・石鍬

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