イタリアのピサといえば、有名なのはピサの斜塔。著しく傾いたピサの斜塔を背にして片手を出し、遠近法を利用した遊び心のある写真を撮る。どのガイドブックを見ても紹介されていますし、ピサの斜塔に行くならばぜひトライしてみたい必須事項ですよね。しかし、実はピサの斜塔は、世界遺産にも登録されている「ドゥオモ広場」を構成する一部分であるということをご存知ですか?今回は、ピサの斜塔はもちろんのこと、ドゥオモ広場全体をとことん楽しむためのおすすめポイントをご紹介します。
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ピサのドゥオモ広場とは?
イタリア・ピサの斜塔がある広場のことを「ピサのドゥオモ広場」といいます。この広場は1987年に世界遺産に登録されており、別名「奇跡の広場」とも呼ばれています。私たちが一番よく知っているピサの斜塔は、世界遺産を構成する広場の一部である、というわけですね。
イタリアでは、「大聖堂・洗礼堂・鐘楼」の3つが1セットとして建てられているところが多く見られます。ピサの斜塔はこのうちの「鐘楼」に当たるのですが、ドゥオモ広場は聖堂・洗礼堂・鐘楼に加えて、カンポサントと呼ばれる墓所回路、シノピエ美術館、ドゥオモ付属美術館の計6つの建物で構成されています。
今回は、ピサのドゥオモ広場にある聖堂・洗礼堂・鐘楼(ピサの斜塔)の3つの建物について、楽しむための6つのポイントも織り交ぜながらご紹介します!
ピサ大聖堂(ドゥオモ)
1063年に着工し、1272年に完成したピサ大聖堂は、イタリア・ロマネスク様式を代表する建築物であり、最高傑作とも言われています。聖堂内には、説教台やキリストのモザイク画等があります。
【楽しむためのポイント①】扉のレリーフに注目!
大聖堂の正面には、3つの青銅扉があります。
実はこれ、よく見てみると全て違うレリーフなのです!中央の扉には聖母マリアの生涯、左右の扉にはキリストの生涯が彫り込まれています。とても緻密で繊細なレリーフに、思わず立ち止まって見惚れてしまいます。
それでは中へ入ってみましょう!
【楽しむためのポイント②】名前の由来は諸説あり!ガリレオのランプを見てみよう
中央に見えるのはガリレオのランプと呼ばれているもの。ガリレオ・ガリレイが、このランプを見て振り子の等時性を見つけたことが由来しています。しかし、ランプの設置時期とガリレオが振り子の等時性を発見した時期のつじつまが合わないことから、この件については諸説あるようです。
【楽しむためのポイント③】不自然なほどゴージャスな天井を見上げよう
大聖堂に入ってすぐに目を引くのが、不自然なほどに煌びやかな天井です!実はこの大聖堂、1595年に火災に遭って天井も被害を受けました。しかし、フィレンツェの大富豪・メディチ家がそれを再建し、このようなゴージャスな天井になったようです。よく見るとメディチ家の紋章が入っています。
- ピサ大聖堂
- イタリア / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Duomo di Pisa地図で見る
- Web:http://www.opapisa.it/en/
サン・ジョヴァンニ洗礼堂
ピサのドゥオモ広場に入り、まず一番最初に目に入るのがサン・ジョヴァンニ洗礼堂。洗礼堂とは、キリスト教信者になるための儀式をする場所のことです。
1152年に着工し、完成まで200年以上を費やしました。そのため、ロマネスク様式とゴシック様式が混在しているという珍しい建物です。内部はとてもシンプルな作りなのですが、音響効果がとても良いことでも有名です。
【楽しむためのポイント④】ジッと眺めてみて!実は傾いているのが分かりますか?
実はこの洗礼堂、ピサの斜塔ほどではないですが、若干傾いています。この辺りは全体的に地盤が緩いようですね。本当にわずかなので、実際に目で見るとぼんやり傾いて見える程度です。
しかし、広場にある複数の建物が傾いているという事実を知ってしまうと、それだけで自身の平衡感覚が奪われます。特に写真を撮る際は、何を軸にして撮れば良いのかわからなくなります。
- サン・ジョヴァンニ洗礼堂(ピサ)
- イタリア / 社寺・教会
- 住所:Battistero di San Giovanni@pisa地図で見る
ピサの斜塔(鐘楼)
ピサの斜塔は1173年に着工、1372年に完成しました。鐘楼なので、もちろん鐘も付いています。
しかし、この鐘は一度もその役目を果たしたことがありません。何故でしょうか?実は、鐘が鳴る振動ですら、さらなる傾斜の原因になりかねないからです。ピサの斜塔への入場に人数の規制があるのも、このためです。
ピサの斜塔は、一時倒壊の危機が訪れたこともあるようですが、傾斜の原因である地質の調査をしてみたり、傾斜を抑えるために工事をしてみたり(その間10年間、ピサの斜塔への入場は不可だったようです)と、様々な対策がなされました。その結果、あと300年は倒壊はしないだろうとされています。
ピサの斜塔に入る前に
ピサの斜塔の左手に見える黄色い建物で、カメラ以外の手荷物を全て預けましょう。入場する間際だとバタバタするので、余裕を持って預けておくことをお勧めします。
建物には係員がいるので、その方の指示に従って荷物をロッカーに入れます。すると札を渡されるので、ピサの斜塔から降りてきたら、その札と引き換えに預けた荷物を引き取りましょう。
入場する際には、金属探知機検査を受けます。近年、テロ対策によりイタリア全体がセキュリティーに厳しくなっているようです。筆者はカメラに探知機がかからないよう、カメラを片手に持ったまま万歳をして検査を通過しました。
いざ入場!
入場すると、左手に階段があるので登っていきます。
登り始めて10秒後には平衡感覚がおかしくなり、真っ直ぐ歩いているはずなのに外に振られているような、内に引き込まれているような、奇妙な感覚を覚えます。しかし、その感覚にも徐々に慣れていき、慣れた頃には階段を登り終え、美しい光景が目の前に広がります。
ここで写真撮影を開始される方も少なくありません。
広場に入った時にはとても広く見えた芝生も、上から見ると少し小さく感じます。それだけ高くまで登ってきました。しかし、ここは頂上ではありません!
【楽しむためのポイント⑤】さらに上に続く階段を見逃さない!
ピサの斜塔はここで終わりではありません。さらに上の階が存在します!
実は、筆者は上の階へ登る階段を通り過ぎ、早々にピサの斜塔を降りてしまったのですが・・・ぐるりと回るとさらに上に続く階段が現れるので、職員用?立ち入り禁止?などと思わず、躊躇わずに登ってください!
実際に行った人の話によれば、階段を上がると、大きな鐘が複数現れます。今まで一度も使われていない、あの鐘です!ここも見逃せない撮影スポットとなっているんだそう。
また、さらに天辺付近まで登り下を見下ろすと、あの大きな大聖堂も眼下に見ることができます!地上約57mの高さからピサのドゥオモ広場を眺めれば、その景色に圧巻されそうですね。
天辺付近の階段は磨耗しており滑りやすいとのことでしたので、歩きやすい靴での登頂をオススメします。地上から登り始めた時でさえ、感覚がおかしくなるほどの傾き具合。天辺付近はもっと凄まじいようですので、ぜひ体感してみては?
【楽しむためのポイント⑥】日が暮れてからの景色も見てみて
青い空をバックにしたピサの斜塔の写真は、ガイドブックなどでよく見かけますよね。でも、日が暮れる瞬間を斜塔で見てみると、言葉も出ないほど美しい光景です。そして日が暮れた後も、その美しさはライトアップされることによって続きます。
暗闇に浮かび上がるピサの斜塔。暗闇と対比になっている塔の白色が、より一層美しく見えませんか?
広場には人も少なく静かで、昼間とはまるで違う雰囲気をまとっていますので、一見する価値ありです!しかし、日が暮れてからの一人での行動は危険ですので、団体での訪問をおすすめします。
- ピサの斜塔(鐘楼)
- イタリア / 観光名所
- 住所:Torre di Pisa地図で見る
- Web:http://www.opapisa.it/en/