長野県松本市の、土蔵の立ち並ぶ街として有名な「中町」。中町通りは観光スポットとして魅力がいっぱいですが、今回はその一角にある「松本市はかり資料館」をご紹介します。「えっ、はかりの資料館なんてマニアック!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかしこの資料館は、博物館としての見ごたえが充分にあり、特に「はかり」に興味がない人にとっても、面白く魅力のある見学スポットです。中町観光の際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
この記事の目次表示
はかり資料館とは
日本でも珍しい、はかりのミュージアム。「松本市はかり資料館」は、中町通りのほぼ中央に位置します。白壁と黒なまこの土蔵造りの建物は、その町並みに溶け込み、一瞬見逃しそうになります。
前身は、明治35年創業の「竹内度量衡店」。「度量衡」とは、さまざまなものをはかる言葉。竹内度量衡店では、長野県の中南信地方の度量衡器の需要を一手に引き受けていました。
養蚕業の盛んだったこの地域で、製糸業界をターゲットにした商いをしていましたが、養蚕業の衰退とともに昭和61年、店じまい。その後、平成元年に「松本市はかり資料館」として生まれ変わり、オープンしました。
はかり資料館の楽しみ方
はかり資料館は、全部で3つの展示室から成り立っています。
第1展示室 ― 「測る・量る・計る」道具の展示
古今東西の様々なはかりが展示されています。
一言に「はかる」と言っても、物差しで長さを測ったり、枡で容積を量ったり、天秤で重さを計ったり。
中には、上皿天秤の原理となった「ロバーバル機構」も展示されています。これは、分銅と量る物の重さが同じなら、天秤の皿のどの位置に物を載せてもバランスが崩れないというもの。
展示室の中央には、色々な「はかること」を体験できるコーナーもあり、大人も子供も楽しめます。天秤に分銅を乗せてぬいぐるみの体重をはかる体験や、袋の重さを当てるゲームなどがあります。
中でも「6合枡一つで、1合・2合・3合・4合・5合はどうやって量っていたでしょうか?」という枡のパズルはおススメ。大人でも難しく、昔の人々の知恵の深さを感じます。
第2展示室 ― 蚕糸業に関するはかり展
ここでは、蚕糸業で使われていたはかりを見ることができます。
松本市はかつて、製糸業の中心地でした。製糸業において、「はかること」は必要不可欠なことでした。生糸の元となる蚕の繭は、雌雄で重さが違うことから、雄雌を見分けるために「雌雄選別器」というはかりを使っていました。
また、生糸の長さや太さを計ることにも、検尺器を使っていました。そのことから、このはかり資料館の前身、「竹内度量衡店」が始まったのです。
第3展示室 ― 旧三松屋蔵座敷
3つ目の建物は、老舗材木問屋の「旧三松屋」の蔵座敷。ここにははかりは展示されていませんが、明治時代に流行した「擬洋風建築」の、和風と洋風の混ざった興味深い建物が見どころです。
同じ松本市内で観光名所となっている、重要文化財「旧開智学校」の建築を手がけた棟梁の、最晩年の集大成の建物だと言われています。
なお、それぞれの展示室の間にある中庭の佇まいも、風情があって素敵です。
最後に
ご紹介した「はかり資料館」のある中町には、ほかにも風情あるお店がいっぱい。資料館見学の後はぜひ、周辺のおしゃれなカフェでひと休みして行ってくださいね。
「松本市はかり資料館」の基本情報
- 開館時間:午前9時から午後5時まで(ただし入館は午後4時30分まで)
- 休館日:毎週月曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日から1月3日)
- 観覧料:大人200円(20名以上の団体は150円)、中学生以下無料
- アクセス:<徒歩>JR松本駅より約15分/<バス>JR松本駅よりタウンスニーカー 東コース「はかり資料館前」下車
- 松本市はかり資料館
- 松本市 / 子供が喜ぶ / 博物館
- 住所:長野県松本市中央3丁目4番21号地図で見る
- Web:https://matsu-haku.com/hakari/