ディズニー映画『白雪姫』に出て来るお城のモデルが、スペインにあります。それがセゴビアのアルカサル城で、スペインの首都マドリッドから日帰りできる距離(100km弱:バスで約1時間)です。お城を含め「セゴビア旧市街と水道橋」として世界遺産に登録されているほか、世界の名城25選にも選ばれており、いわば名声と実力が伴った古城です。今回は、ファンタジー映画の舞台となったアルカサル城とセゴビアの旧市街をご紹介します。
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『白雪姫』のお城のモデル!?
『白雪姫』のお城とは?
世界的なディズニー映画『白雪姫』。名前を聞いたことのない人はいないほど、言わずと知れた名作ファンタジー。映画に登場するお城は塔がいくつも立っており立派ですが、外観は白く、シンプルな配色となっています。
実は、このディズニー映画に出てくる城にはモデルがあると言われています。それが今回ご紹介する、スペインのアルカサル城です。
世界の名城25選の一つ、アルカサル城の魅力!
スペイン中部カスティーリャ・レオン地方にあるセゴビア(Segovia)は、首都マドリッドからバスで約1時間のところにあります。セゴビアの旧市街と、旧市街の入り口にあるローマ水道橋が世界遺産に登録されている、美しい街です。街自体は十分歩いて回れる大きさなので、街の外れにあるアルカサル城へも徒歩圏内です。
旧市街中心のマヨール広場(Plaza Mayor)や、セゴビア大聖堂のエリアを通り抜けるとアルカサル城が見えてきます。城下の芝生の公園から城を見上げると、いくつもの尖塔やクリーム色の城が映画の中の城に似た姿を見せてくれ、白雪姫のお城のモデルであることも頷けます。
アルカサルは「城」という意味のスペイン語(Alcázar)で、元々はアラビア語に由来しています。イスラム教徒が基礎を築いた要塞をもとに、12世紀に改築されました。世界の名城25選にも入るアルカサル城。その魅力は、その威厳ある概観と華やかな城内部にあるのではないでしょうか。
城内部はかつての面影が残されており、現在は一般観光客が自由に見学できる博物館的機能を果たしています。黄金の天井に真っ赤な壁、そこに大きな額縁に入った肖像画がいくつもかけられており、とても煌びやかな空間です。
また、尖塔に近い上部の部分にある回廊部分は窓ガラスのないテラスになっており、アルカサル城の周辺地域を見渡すことができます。スペインらしい乾燥した赤土色の広大な大地の先に、オリーブ畑やオレンジ畑といったオアシスが見えます。
アルカサル城がアラビア語に由来するだけあり、この回廊には、色鮮やかなイスラーム様式の装飾タイルが埋め込まれています。
アルカサル城は、距離を置いて遠くからその姿を見るのもよし、また内部も、来城者をがっかりさせないファンタジーの世界が現実化したような特別な空間で、訪れる価値のある場所です。
- アルカサル城
- スペイン / 建造物 / 城・宮殿
- 住所:Plaza Reina Victoria Eugenia, s/n, 40003 Segovia地図で見る
- Web:http://alcazardesegovia.com/
世界遺産:セゴビアの旧市街を探検!
アルカサル城のお膝元、世界遺産のセゴビアの旧市街も見所たっぷりの小さな街です。迷路のような旧市街、きっとお気に入りの場所が見つかるはずです。
起源は2,000年前!太古の人々の暮らしを支えたローマ水道橋!
セゴビアの代名詞的存在なのが、旧市街の入り口にどっしりと構える巨大なローマ水道橋です。
今から約2,000年前に栄えたローマ帝国にとって、植民市として建設したサラゴサと、重要都市としてローマ軍団が入植したメリダを結ぶルートの中間に位置するセゴビアは重要な都市であり、ローマ帝国繁栄のためには水資源の確保が一番の課題でした。
そこで紀元1世紀後半から2世紀初頭に水道橋が建設され、都市や周辺地域への水資源を運搬する水路となりました。水道橋の建設には167か所あるアーチ部分も含め、セメント等の接合剤は使用されず、約2万個の花崗岩を積み上げることでのみつくられました。
水道橋の全長は800メートルにもなり、最も高いところで28.5メートルもあります。驚くべきことに、この水道橋は20世紀に入ってからも実際に使用されており、市街地に水を供給するために約20km離れたフリオ川から水を引く役割を担っていました。
現代では、セゴビアの旧市街に入る際のゲートのような役割を果たしています。丘へ続く旧市街の街並みとよくマッチし、セゴビアをより魅力ある街並みにしています。
- ローマ水道橋
- スペイン / 遺跡・史跡 / 絶景
- 住所:Plaza Azoguejo, s/n, 40001 Segovia地図で見る
- Web:http://visitsegovia.turismodesegovia.com/es/micros...
圧巻の存在感!丘の上にある16世紀のセゴビア大聖堂!
旧市街の丘のてっぺんで、ひときわ存在感を放つのがセゴビア大聖堂です。カルロス5世の統治下の1525年に建築が始められ、以後250年もの歳月を費やし、1768年に完成しました。
建設中の火災を経て、後期ゴシック様式、ロマネスク様式と様々な建築様式が共存します。主身廊は長さ105メートル、横幅50メートルで、高さは33メートルにもなり、内部は開放感溢れる空間となっています。
セゴビア大聖堂は、主祭壇よりも個々の礼拝堂の美しさが際立っているのが特徴で、赤を基調としたフランドル風の天井などが印象的です。主祭壇のあるメイン空間のほか、いくつもの小部屋があり、それぞれが異なる表現方法で装飾されており印象も異なります。
中でも、スペイン独特のパティオ(小庭)のような回廊がとても美しく、ぼ~っと眺めているだけでまるで映画の世界に迷い込んだようでうきうきします。ロマネスク様式の回廊は、季節や時間などで刻々と変化する光の温かさや鋭さを体感することのできる空間となっています。
- セゴビア大聖堂
- スペイン / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Plaza Mayor, s/n, 40001 Segovia地図で見る
- Web:http://catedralsegovia.es/en
旧市街の商店街をそぞろ歩き
せっかくスペインの街に来たら、ぜひ本場のバルにも足を運んでみたいですね。セゴビアの旧市街にももちろん、様々な場所に地元の人々も足繁く通うバルがあります。イベリコ豚のハムやジャガイモ入りの卵焼きトルティーリャ、エビと唐辛子のオリーブオイル煮込みのガンバデアヒージョなど、様々なタパスを試してみたいですね。
また、セゴビアに来たらぜひ食べてみたいのが、名物「子豚の丸焼き・コチニージョ・アサド(Cochinillo asado)」です。厳格に品質管理されているのが特徴で、丸焼きにされる子豚の条件も決まっており、ミルクで育てられていること、生まれて3週間以内で体重5キロ以下であることなど条件があります。
皮はこんがりと焼かれてパリパリで、肉はジューシーな骨付き。シンプルな塩の味付けで、素材のうまみが生きた一品です。
- セゴビア旧市街
- スペイン / 町・ストリート
- 住所:Segovia Old Town地図で見る
- Web:http://visitsegovia.turismodesegovia.com/
おわりに
いかがでしたか?ファンタジーの世界観たっぷりのアルカサル城に、ローマ水道橋と旧市街の街並み。スペインの首都マドリッドの喧騒から離れて、日帰りで訪れることも可能なセゴビア。数ある街を訪れてきても、この街の文化の凝縮感や特異な魅力はきっと忘れられなくなるでしょう。