江戸時代が始まる前、江戸に幕府を置くときに綿密に施された風水は日本独特のものでした。「鬼門守護」や「の」の字型のお堀をつくったことで、260年間の平和時代と世界都市東京に発展するまでになったといわれています。今回は、陰陽道による江戸守護に関係の深い神田神社、浅草神社、日枝神社についてご紹介します。
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陰陽道都市とは
陰陽道とは、中国の陰陽五行説を取り入れて日本で発達した自然摂理を読む教えのことで、その教えにもとづいて形成された都市のことを陰陽道都市といいます。陰陽道都市の特徴は、都市の中心部を守るための鬼門・裏鬼門守護などが設置され、結界が張り巡らされていることです。
※結界とは、仏教用語で聖域と俗界を区切る境目のことをいいます。結界で区切られた地域は「聖域」として、罪や穢(けが)れが侵入しないという考え方があります。
今回は、陰陽道都市として設計された「江戸」の街で重要な三社をご紹介します。
江戸総鎮守(えどそうちんじゅ)の神田神社
神田神社(神田明神)はもともと出雲の神をお祀りしていましたが、10世紀に平将門の乱を起こした将門の首が京都から東京にもちこまれて首塚に祀られていたところ、14世紀になって疫病が流行し、これが将門の祟りとして供養されたことから神田神社の相殿(あいどの=同じ社殿に2柱以上の神を合わせて祭ること)となり、以降は勝負の神として武士からの尊崇を集めました。
1600年の関ヶ原の合戦の際、徳川家康はここで毎日祈祷を上げさせたと言います。そして9月15日の祭礼の日に勝利した家康は天下統一を成し遂げたのでした。その後四神相応のパワースポット江戸城(現在の皇居)を増築した際、鬼門を守るべく現在地に遷座したのが1616年です。
アニメーターの聖地でもある神田大明神(かんだだいみょうじん)
神田神社はもう一つユニークな特徴を持つことでも知られています。それは「アニメーターの聖地」とされていること。
JR秋葉原駅から約1㎞にある神田神社の朱塗りの随身門(ずいじんもん)をくぐって左手、手水舎の向こうをのぞくと、アニメの聖地と言われる理由がわかります。アニメ画像から飛び出したようなキャラたちがいっぱいの絵馬!他の神社ではあまり見られない光景です。
「大江戸」の原点 江戸神社
神田明神社殿裏にある摂末社のひとつが「江戸神社」です。「神田明神」よりも古い歴史を持つ、江戸最古の地主神とされていて、御祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)です。江戸城の最初の城主である江戸氏の氏神でしたが、江戸城が拡張される際に、神田神社に遷座したということです。「江戸」の原点を見るようで楽しいですね。
- 神田明神
- 秋葉原・神田・御茶ノ水 / 神社 / パワースポット
- 住所:東京都千代田区外神田2丁目16−2地図で見る
- 電話:03-3254-0753
- Web:http://www.kandamyoujin.or.jp/
東京最古の浅草神社(あさくさじんじゃ)
神田神社から北東に位置するのが、浅草神社です。神田神社の鬼門を守護しながら、江戸城(今の皇居)も強力に鎮守しています。浅草神社は、江戸城(皇居)からみても鬼門に位置しています。
隅田川のほとりに位置する浅草神社の創祀にかかわったのは、二人の漁師でした。ある日二人の漁師は、その網で人形をつり上げました。不思議なことにその日の漁はさっぱりでしたが、何度も同じ人形が網にかかるので調べてもらうと「聖観音菩薩(せいかんのんぼさつ)」だったのでした。
これが今の浅草寺(せんそうじ)のご本尊です。浅草神社は観音様を釣り上げた漁師を神様としてお祀りする神社です。創建は628年で、東京では最古の神社と言われています。
浅草寺は東京のランドマーク
浅草神社の隣にある浅草寺は、東京のランドマークとしても知られており、参詣する人は年間で3,000万人にもおよぶということです。これだけの人気を誇る理由は「古き良き日本を彷彿とさせる」「下町情緒がある」「仲見世で名物を食す」というお楽しみが満載なことで、外国人客にも人気を呼んでいます。
- 浅草寺
- 浅草・上野・谷根千 / 寺
- 住所:東京都台東区浅草2丁目3−1地図で見る
- 電話:03-3842-0181
- Web:http://www.senso-ji.jp/
浅草神社で習い事を
浅草神社では、日本の良き習慣や伝統文化を次世代へとつなぐことに重点をおいた活動を行っています。巫女舞教室など、一度体験してみたい講座がたくさん開催されています。
- 浅草神社
- 浅草・上野・谷根千 / 神社 / パワースポット
- 住所:東京都台東区浅草2-3-1地図で見る
- 電話:03-3844-1575
- Web:https://www.asakusajinja.jp/
出世運、商売繁盛の山王日枝神社(さんのうひえじんじゃ)
江戸城(皇居)の裏鬼門には、日枝神社が鎮座しています。東京に厳重な鬼門守護神を配置し、江戸に大結界を張ったといわれている「天海(てんかい)」は、比叡山で修業を重ねた僧正です。比叡山の護法神が、日枝神社の総本宮日吉大社になります。江戸に東の比叡山として寛永寺を置きましたが、その護法神がこの日枝神社です。
”まさる”をさわると勝るパワースポット
日枝神社のマスコット、ならぬ眷(けん)族は「サル」です。日枝神社の本殿の左右に男のサルと女のサルがいます。
男のサルにさわると「商売繁盛」「社運隆昌」のご利益があるそうです。子どもを抱えたサルにさわると「子宝」「安産」「縁結び」など女性まもりのご利益があるそうですよ。
- 日枝神社
- 六本木・麻布・赤坂 / 縁結びスポット / 神社 / パワースポット / 藤の名所
- 住所:東京都千代田区永田町2丁目10−5地図で見る
- 電話:03-3581-2471
- Web:http://www.hiejinja.net/
大江戸の大結界おすすめコース
大江戸の大結界とは、江戸城(皇居)の鬼門・裏鬼門に鎮座する社寺のことを指します。そんな大江戸の大結界は、今回紹介した三社によって形成されています。三社とも交通の便が良く、いずれも人気のパワースポットとして隆を極めているほか、日本の首都東京を守り、盛り立てる役割もしっかり果たしています。
「皇居」→「日枝神社」→「神田神社」→「浅草神社」と「の」の字コースで巡るのも楽しいですね。